03
To the promised place
約束の場所へ
同じ頃、識別番号:142857−220も同じような夢を見ていた。
確かに存在した、遠い遠い昔の記憶。自分には、逢わなくてはならない人がいる。
しかし、コンピューターが制御する世界で、その出会いは簡単ではない。
電脳空間での検索は妨害され、警告のアラートが鳴る。
募る焦りと不安の日々。
それでも、あそこに行きさえすればきっと何かが始まるはず・・・
一縷の望みをかけて飛び出した220の目に映るのは、無機質に並ぶカプセルハウスのタワー群と、その向こうの青い空。
初めて感じる自由は、不自由の中の自由からの解放であり、自由の中の不自由でもあった。
向かうのは、約束の地。
「来世で、またね。」
と、約束を交わした、世界樹の下へ -